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2012/1/11

ハンガリー

ハンガリー政府、金融支援交渉に向けて態度を軟化

この記事の要約

ハンガリー政府は5日、欧州連合(EU)などとの融資交渉に「無条件で臨む」姿勢を明確にした。信用不安の拡大を食い止めるためにもEUや国際通貨基金(IMF)の融資枠を確保するのが賢明と判断したもようで、年初に発効した新憲法な […]

ハンガリー政府は5日、欧州連合(EU)などとの融資交渉に「無条件で臨む」姿勢を明確にした。信用不安の拡大を食い止めるためにもEUや国際通貨基金(IMF)の融資枠を確保するのが賢明と判断したもようで、年初に発効した新憲法などに対する批判を「内政干渉」と一蹴してきたこれまでの態度を軟化させた。ただ、以前から内外の批判を押し切って市場原理に反する施策を強行してきた経緯があり、交渉がまとまるかどうかは全くの未知数だ。

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年初に発効した新憲法は、憲法裁判所の権限縮小や中銀に対する政府の影響力強化などが主な内容だ。特に中銀改革についてEUとIMFが強く反発し、先月に金融支援に向けた事前交渉を打ち切った。

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EUは中央銀行の独立を義務付ける欧州法に違反する可能性を指摘している。11日に予定される欧州委員会の定期会合ではハンガリー問題を採り上げ、欧州首脳会議におけるハンガリーの議決権はく奪も含めた形で制裁措置を検討する方向だ。

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国内でも新憲法への抵抗は強く、2日には首都ブダペストで数万人規模の抗議集会が開かれた。司法・中銀の独立、報道・思想信条の自由を侵害し、民主主義に挑戦するものとし、「オルバン、辞めろ!」などと気勢をあげた。

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首相が率いる「フィデス・ハンガリー市民連盟」は2010年4月の議会選で圧勝し、議席の3分の2を獲得した。これを強みに、報道の自由を制限する「メディア法」や外貨建て債務に対する割引為替レートの適用などを強行した。

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欧州債務危機の影響を受けて中東欧諸国の金融市場で先行き不安が広がり、多額の外貨建て債務を抱えるハンガリーからの資金流出が加速した。同国通貨フォリントも急落し、債務コストは上昇を続けている。昨年11月のムーディーズ、先月のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)に続き、6日にはフィッチもがハンガリーの信用格付けを投機水準に引き下げた。

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