米製鉄大手USスチールのスロバキア子会社、USスチール・コシツェが、同国で年初に導入された「排出税」の合法性を国際仲裁裁判所で争う構えだ。余剰排出権の売却益に80%課税する同法が「国外投資の保護」を規定する欧州法を侵害していると主張している。主に税金を負担することとなる大手企業が強く反発しているほか、欧州連合(EU)の環境政策とも合致しないため、排出税の正当性が認められるかどうか微妙な情勢だ。
\排出税は、2010年7月に成立したラディチョバー内閣のミクロシュ財務相の主導で導入された。前政権が2008~12年分の排出権付与で133社を優遇し、割当量が必要量を大幅に上回っているとして、2011、12の両年の排出権取引について税を徴収する。同財務相の試算によると、これにより約1億5,000万ユーロの税収が見込まれる。
\EUの欧州委員会も排出税を問題視しているもようだ。スロバキア放送が昨年10月にヘデゴー委員(気候変動担当)の報道官の話として報じたところによると、余剰排出権の売却益に課税することで、排出量削減の意欲がそがれ、企業の環境技術投資が妨げられるとの見方だ。
\現地の『ホスポダルスケ・ノヴィニ』が4日付で報じたところによると、財務省はUSスチールから受理した書簡の内容を検討した上で対応を検討する方針だ。
\排出税については、すでに電力会社PPCがスロバキア憲法裁判所に提訴しているほか、複数の国会議員が合憲性の判断を同裁判に要請した。
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