中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2012/1/11

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

トルコ、薬価規制を一部緩和

この記事の要約

トルコ政府が医薬品小売価格の統制緩和と医薬品原料の輸入関税引き下げを計画している。医薬品の供給不足を解消するとともに、国内製薬業界の負担を軽減するのが目的。増え続ける医療支出を抑制するために導入された統制価格だが、医薬品 […]

トルコ政府が医薬品小売価格の統制緩和と医薬品原料の輸入関税引き下げを計画している。医薬品の供給不足を解消するとともに、国内製薬業界の負担を軽減するのが目的。増え続ける医療支出を抑制するために導入された統制価格だが、医薬品の国産化を阻むことが明らかになり、修正を迫られた形だ。

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トルコ政府は2009年末、医療支出を抑制するため「グローバル・バジェット」を導入した。医薬品価格の統制もその一部だ。フランス、イタリア、スペイン、ギリシャにおける同じ製品の販売価格のうち、最低のものを基準価格と定めており、特許切れの医薬品は先ごろ、割引率が基準価格の34%から40%に引き上げられた。

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これによって原価割れとなった医薬品を薬局が取り扱うのをやめたため、部分的に供給不足が生じた。また、国内で活動する開発医薬品メーカーは統制価格導入以来、すでに2,500人を解雇しており、状況が改善されなければ事業を縮小することを予告していた。国内製薬業界の低迷を示すように、医薬品の輸入比率も拡大しており、後発医薬品メーカーでつくる製薬工業会(IEIS)によると2003年の37.3%から現在は51%まで上昇したという。

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このような状況に対処するため、政府は医薬品350種について割引率を32.5%に縮小する方針だ。また、循環器系疾患、糖尿病、抗がん剤を中心とする約50種については、1箱あたり3トルコリラ(約1.3ユーロ)の患者負担を、一度に購入する場合は3箱まで一律3リラとする。これにより、価格上昇を部分的に相殺できるようにする。

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製剤原料については関税率を18%から8%に引き下げる。減税規模は業界全体で1億~2億リラ(4,000万~8,000万ユーロ)と推測されている。(1TRY=41.05JPY)(「目で見る東欧・CIS経済」を参照)

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