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2012/1/25

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

ブルガリア議会、フラッキング禁止法案を可決

この記事の要約

ブルガリア議会は19日、シェールガスの探査に水圧破砕法(フラッキング)を用いることを禁止する法案を賛成166票、反対6票で可決した。違反した場合は1億レフ(6,600万ユーロ)の罰金を科す。欧州でフラッキングを禁止したの […]

ブルガリア議会は19日、シェールガスの探査に水圧破砕法(フラッキング)を用いることを禁止する法案を賛成166票、反対6票で可決した。違反した場合は1億レフ(6,600万ユーロ)の罰金を科す。欧州でフラッキングを禁止したのは昨年7月のフランスに次いでブルガリアが2カ国目。首都ソフィアなど国内12都市で抗議行動が開催されるなど、シェールガス探索に反対する動きが高まっていることを受けた格好だ。

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昨年夏に米石油メジャーのシェブロンが取得した探査事業免許も取り消された。同社は5月の入札を通じ、北西部ノヴィ・パザル地域の探査免許を3,000万ユーロで落札した。しかし、国内の穀倉地帯に当たる同地の環境汚染を危惧する国民グループが反対運動を展開してきた。

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フラッキングは頁岩(シェール)層に貯留する天然ガス(シェールガス)の採掘で主に使われる手法。化学物質と砂を混ぜた水を高圧で地中に注入してシェール層に割れ目(フラクチャー)を作り、内部にあるガスを抽出する。低コストで効率よくガスを採取できることからエネルギー企業は同法による採掘を推進している。一方、環境保護団体は注入した化学物質による地下水汚染や、地震を誘発する可能性があると指摘する。

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EU内でもシェールガスに対する足並みはそろっていない。ポーランドで2015年の商業生産が予定されるほか、ルーマニアも試掘を計画している。一方でフランスはフラッキングを禁止。英国も昨春、地震の原因になったとして、保養地ブラックプール近くの掘削を中止した。ドイツも昨年8月、環境リスク調査が完了するまでフラッキングを禁止した。

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