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2012/5/9

総合・マクロ

ポーランド~チェコ間の新ガスパイプライン敷設を計画

この記事の要約

ポーランドのガスパイプライン事業者ガス・システムとチェコの同業ネット4ガス(独RWEグループ)が、両国間の送ガス・インフラの強化を検討している。パイプラインの新設および既存ラインの拡充が内容。ガス・システムは、スロバキア […]

ポーランドのガスパイプライン事業者ガス・システムとチェコの同業ネット4ガス(独RWEグループ)が、両国間の送ガス・インフラの強化を検討している。パイプラインの新設および既存ラインの拡充が内容。ガス・システムは、スロバキアとリトアニアを結ぶパイプラインの敷設も計画しており、域内エネルギー市場の結びつきを強める欧州連合(EU)の計画が着実に進んでいきそうだ。

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ガス・システムのハダム取締役はポーランドメディアの取材に対し、計画が実現すれば年間80億~100億立方メートルの輸送が可能になると話した。これは昨秋、運営を開始した両国間初の「ストルク・パイプライン」の20倍に当たる。

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計画によると、新パイプラインは、ポーランドが2014年の稼働を予定するシフィノウイシチェ液化天然ガスターミナルとチェコ東部のオストラバを結ぶ。EUが整備を目指す南北基幹パイプラインを構成することになる。2016~17年の運営開始を視野に入れる。

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両社はまた、ストルク・パイプラインを拡張して輸送能力を5倍に増やすことも検討中だ。

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ポーランドからスロバキア、リトアニアに伸びるガスパイプラインの建設では、それぞれ年間40億~50億立方メートルの輸送が可能になる見通し。

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EU域内のパイプライン網整備には、ロシアへのエネルギー依存を弱める狙いもある。欧州内の国際パイプライン・プロジェクトは費用の最大80%までをEUの助成金で賄うことができる。

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■ガス・システム、ネット4ガスに食指

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独RWEが年内に予定するネット4ガスの売却で、ガス・システムが買収に関心を示しているようだ。チェコのネットニュースサイト「E15」が報じたもので、EUの南北を結ぶ基幹パイプライン網の一部として、ネット4ガスのインフラに注目しているもようだ。

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RWEはドイツ政府による2022年の原発廃止計画にともなうコスト拡大で利益が大幅に減少した。債務圧縮に向けて総額110億ユーロの資産放出を計画しており、ネット4ガスの売却はその一環だ。(東欧経済ニュース2月22日号「ポーランドとリトアニア、共同でパイプライン敷設へ」、2011年9月21日号「ポーランド・チェコ天然ガスパイプラインが開通」、2011年3月16日号「ガス・システム、大型ガス事業の資金調達で5行と合意」を参照)

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