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2012/5/9

ロシア

プーチン大統領就任、政治家としての正念場に

この記事の要約

3月のロシア大統領選挙で当選したウラジーミル・プーチン首相が7日、第4代大統領に就任した。大統領を務めるのは2000~08年に続いて3期め。メドベージェフ前大統領による憲法改正で、今期から任期は6年となる。\ 1990年 […]

3月のロシア大統領選挙で当選したウラジーミル・プーチン首相が7日、第4代大統領に就任した。大統領を務めるのは2000~08年に続いて3期め。メドベージェフ前大統領による憲法改正で、今期から任期は6年となる。

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1990年代の混乱を終結させた英雄として絶大な支持を誇った以前とは異なり、今回の就任に対しては政治改革を求める反対派が抗議運動を展開している。抗議活動の核となっている中産層を取り込んで、いかに改革を進めていくのか。政治家としての正念場となりそうだ。

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プーチン大統領は就任を前に、主要な課題として◇少子化対策◇国家保安◇雇用創出◇経済の競争力強化◇ユーラシア同盟の結成――を指摘した。政治改革は取り上げておらず、民主化の意思が弱いことを示唆している。就任当日、反対派が少なくとも178人逮捕された事実からも、警察国家的な旧来の政治スタイルが続く公算が高い。前日の反対派デモが警備隊との衝突し、混乱の中で終わったことを受けて、就任後のパレードは沿道への市民の立ち入りが禁止され、警察官に見守られて行われた。

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西欧の政治研究者らは、プーチン大統領の任期中に育った中産層が政治的に無視できない規模まで成長したとし、ある程度の政治的自由を保障するまで緊張状態は解消されないとみる。

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一方で、メドベージェフ前大統領が主導した民主化改革でも、例えば地方自治体首長の直選制復活で出馬に大統領の承認が必要になるなど、大統領の権力は温存されている。このため、政治改革が実施されても、プーチン大統領の権力を弱めない範囲にとどまりそうだ。反対派が果たして、それで満足するかが今後を占う一つのポイントとなるだろう。

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