ロシアの国営石油会社ロスネフチは24日、英石油大手BPが保有する露合弁会社TNK-BPの株式の50%の買収に向けて、BPと交渉を開始したと発表した。BPは6月、合弁パートナーであるAAR(アルファグループ、アクセス・インダストリーズ、レノバ)とTNK-BPの経営主導権をめぐって確執が続いていることを理由に、持ち株50%の売却を検討していることを明らかにしていた。買収価格は約320億米ドルと推定されている。
\これを受けて、AARは、TNK-BPへの出資比率を50%から75%に引き上げる意向を示しているが、ロスネフチが一括で50%の買収を提案したことで、今後状況は変化するもようだ。
\BPは今回の売却に90日の猶予期間を設けている。このため、他の企業も買収に向けて動き出す可能性がある。ロシア天然ガス最大手のガスプロムも買収に意欲を見せているという。
\なお、ロスネフチは現在、プーチン大統領の意向を受けて事業の拡大に乗り出している。最近では、露ガス開発大手イテラの株式の6%を取得。最終的には出資比率を51%にまで引き上げる意向を示している。ロシア国内のガス開発事業を強化するのが狙いという。
\ \■BPに25億ユーロの賠償命令
\BPが計画したロスネフチとの提携計画がTNK-BPでの合弁契約に違反していたとして、TNK-BPの少数株主であるプロホロフ氏が損害賠償を求めていた裁判で、ロシアのチュメニ調停裁判所は27日、同氏の主張を認め、BPに25億ユーロ弱の損害賠償支払いを命じた。BP側は判決を不服として上訴する方針だ。控訴審判決が出るのは数カ月後になるとみられ、その間、BPによるTNK-BP株式売却が足踏み状態になるとの懸念が浮上している。
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