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2012/8/1

ロシア

ロシア政府、銀行民営化計画を延期

この記事の要約

ロシア政府はこのほど、年内に国営銀行のズベルバンクと外国貿易銀行(VTB)の株式を市場で売却する計画を見合わせた。メディア報道によると、代案として新株発行による資金調達が検討されている。これにより大きな成長が期待される両 […]

ロシア政府はこのほど、年内に国営銀行のズベルバンクと外国貿易銀行(VTB)の株式を市場で売却する計画を見合わせた。メディア報道によると、代案として新株発行による資金調達が検討されている。これにより大きな成長が期待される両行の資金需要を満たす狙いだ。ただ、すでに国家予算に組み込まれている民営化収入の穴をどう埋めるかが問題となる。また、政府が期待するほどの需要が市場に存在するかも不透明で、計画の成否も分からない状態だ。

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政府は年末までにズベルバンク株の7.58%、2013年末までにVTB株の25.5%を売却する計画だった。現在の時価に照らすと、その金額はそれぞれ38億ユーロ、37億ユーロに相当する。経営権を手放す計画はまだない。

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民営化収入はすでに国家予算に組み込まれている。今年は110億ユーロ強、2013~15年には300億ユーロが見込まれていた。両行の部分民営化を完全に取りやめれば財政赤字拡大は必至だ。

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政府は景気減速で両行の経営が不安定になることを懸念しているもようだ。特にVTBは中銀の定める不良債権に対する自己資本率の最低ラインである10%をぎりぎりで満たしている状況で、資本力に不安がある。同行は2011年に巨額の不良債権を抱えるモスクワ銀行を買収し、国の支援を受けた経緯がある。

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