中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2013/6/5

総合・マクロ

ラトビアのユーロ導入が確実に、来年初めから

この記事の要約

欧州連合(EU)の欧州委員会は5日、ラトビアによる2014年1月のユーロ導入を認める方針を発表する予定だ。先週まとめた報告書で導入条件を満たしていると認定した。これにより、ラトビアのユーロ参加が事実上確定。ユーロ圏は18 […]

欧州連合(EU)の欧州委員会は5日、ラトビアによる2014年1月のユーロ導入を認める方針を発表する予定だ。先週まとめた報告書で導入条件を満たしていると認定した。これにより、ラトビアのユーロ参加が事実上確定。ユーロ圏は18カ国に増える。EU東方拡大以降に加盟した国のユーロ参加は、キプロス、マルタ、スロベニア、スロバキア、エストニアに続き6カ国目。旧ソ連邦諸国では2カ国目となる。

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ユーロ導入には欧州為替相場メカニズム(ERM2)に最低2年間加わり、自国通貨の対ユーロ標準値の変動率を上下15%以内に抑えることが求められる。また、財政赤字、債務残高、インフレ率、長期金利の4項目で基準を満たす必要がある。

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ラトビアは2008年の金融危機で深刻な打撃を受け、2010年の財政赤字は国内総生産(GDP)の8.1%まで上昇した。しかし、徹底した緊縮財政が奏功して、昨年はこの比率がユーロ導入基準の3%を大きく下回る1.2%まで改善。今年と来年もやや低下すると見込まれる。

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債務残高のGDP比は40%と基準の60%を余裕でクリア。EU内でも低い水準だ。インフレ率も1.3%とEUで3番目に低い。長期金利は4月末時点で3.8%と基準の5.5%を下回った。ERM2には2005年以来、参加しており、この条件も満たしている。

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欧州委は一方、キプロスの銀行危機でロシアなど旧ソ連諸国からの資金がラトビアに流入している問題に関連し、政府に対して資金洗浄対策と、外国預金が多い銀行に対する監督強化の確かな実行を求めている。

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ラトビアは従来から非居住者を対象とした銀行サービスが盛んで、4月末現在の預金総額に占める非居住者の割合は49%にも上っている。国際通貨基金(IMF)の推定では、非居住者の預金額63億ラッツのうち、旧ソ連諸国からの資金が8~9割を占める。

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■ユーロ懐疑派優勢

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懸念材料となっているのは、国内でユーロに懐疑的な見方が強い事実だ。1日行われたリガ市議会選挙では、ユーロ反対派の「調和センター(SC)」が6割近くを得票し、ユーロ推進を強く訴えるドムブロフスキス首相の「統一」(15%弱)を大きく引き離した。4月に実施された世論調査でも、支持派は前月比で5ポイント増えたといはいえ、38%にとどまっている。

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ただ、これがユーロ導入の妨げになることはなさそうだ。ラトビアはすでに10年前の国民投票で導入を決定している。また、地方選挙の主な争点がユーロではなかったという事情もある。

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政府はユーロ参加に向けたキャンペーンを展開しており、ドムブロフスキス首相は年末までに国民のユーロ支持率が50%に上昇すると自信を示している。

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