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2013/6/26

総合・マクロ

トルコとの加盟交渉再開、事実上秋に先送り

この記事の要約

EU加盟国は24、25日にルクセンブルクで開いた外相理事会で、凍結状態にあるトルコとの加盟交渉を再開することで合意した。ただし、同国の反政府デモに対するエルドアン政権の強権的な姿勢をドイツなどが批判していることを受けて、 […]

EU加盟国は24、25日にルクセンブルクで開いた外相理事会で、凍結状態にあるトルコとの加盟交渉を再開することで合意した。ただし、同国の反政府デモに対するエルドアン政権の強権的な姿勢をドイツなどが批判していることを受けて、実際の交渉再開は10月以降に先送りする。一方、トルコは、交渉の遅れに強く反発しており、EUとトルコの関係悪化が深まりそうだ。

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トルコとEUは2005年に加盟交渉を開始した。しかし、トルコによるキプロス(ギリシャ系の南キプロス)の国家承認拒否や、イスラム教国であるトルコの加盟にドイツ、フランスなどが強く反対していることから交渉は難航。35に上る交渉項目のうち交渉開始にこぎ着けたのは13項目にとどまり、完了したのは1項目だけという状態にある。新たな項目での交渉開始も2010年6月からストップしている。

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しかし、フランスがオランド政権発足後に強硬姿勢から転換したことから状況が変わり、EU議長国アイルランドは5月末、交渉再開を表明。経済発展が遅れている地域への支援などに関する「地域政策」での交渉を26日に開始する方針を打ち出していた。

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この気運に水を差したのは、エルドアン政権の反政府デモに対する強硬姿勢。EUが重視する人権、表現・集会の自由に反すると批判する声が強まった。ドイツは20日に開かれたEU加盟国の大使会合で、交渉再開に拒否権を発動する意向を表明。オランダ、オーストリアが同調したことから、今回の外相理事会での再開決定が見送られるのは必至と見られていた。

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しかし、トルコ政府が激しく抗議したほか、他の加盟国も問題視したことから、独ヴェスターヴェレ外相は理事会の初日、新項目での開始はとりあえず認めるものの、「最近のトルコでの出来事に目をつむるわけにはいかない」として、実際の交渉は先送りするという妥協案を提示。これを他の加盟国が受け入れた。

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