ロシア反体制運動の主導者であるアレクセイ・ナヴァルニ氏が18日、モスクワの北東900キロメートルに位置するキーロフの裁判所で、背任罪により懲役5年の有罪判決を受けた。政敵を排除するプーチン大統領の政治裁判として、国外からも抗議の声が挙がっている。
\一方、翌19日には、判決が確定するまで収監を猶予する判断が下され、9月のモスクワ市長選に向けたナヴァルニ氏の選挙活動が実現する様相だ。
\判決によると、ナヴァルニ氏はキーロフ州知事の顧問を務めていた2009年に、森林公社の材木を不当に安く販売し、40万ユーロ相当の損害を与えたとされた。同じ容疑で過去にも2回、捜査が進められ、証拠不十分により中止された経緯があることや、公判中にもナヴァルニ氏に不利な証言が得られなかったことなどから、反対派を抑え込む新たな政治裁判との見方が強まっている。
\ナヴァルニ氏は大企業の怪しい取引を調べ上げ、2007年以来、自身のブログで公表し続けてきた。最近もロシア国鉄のヤクーニン総裁が外国の巨額資産を申告していない事実を告発したばかりだ。
\政治活動にも力を入れ、10日には9月8日に行われるモスクワ市長選への立候補の届け出を行った。2018年の大統領選への出馬も表明している。
\今回、身柄の拘束が解かれた背景には、10年ぶりの公選となるモスクワ市長選でナヴァルニ氏を候補から外す事態になれば、不正選挙の非難が大きくなるのが避けられないとみる当局の判断があるもようだ。
\ \■政治裁判の犠牲
\ \政治裁判による犠牲者は、ユコスのミハイル・ホドルコフスキー元社長や、女性パンクバンドのプッシー・ライオットのほか、◇反プーチン派の国家ボリシェヴィキ党のタイシャ・オシポヴァ氏◇石油大手ルクオイル副社長の乗った車との事故で死亡し、事故を起こした責任で死後有罪判決を受けたオレガ・アレクサンドリア医師◇内務省幹部らの巨額横領を告発して獄死し、脱税罪で死後有罪判決を受けたセルゲイ・マグニツキー弁護士◇今回のナヴァルニ裁判で同氏に不利な証言をすることを拒んで4年の実刑判決を受けたオフィツェロフ氏――など、枚挙にいとまがない。
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