7月に欧州連合(EU)加盟国となったクロアチアが、加盟直前に犯罪者引渡しに関するルールを改正し、他の加盟国への犯罪者の身柄引き渡しを制限していることが大きな波紋を広げている。EUの欧州委員会はクロアチアをEU法違反として非難しており、補助金交付の中止など制裁措置を発動する構えだ。
\EUでは2004年に導入した「共通逮捕状」制度に基づき、加盟国が互いに犯罪者の身柄を迅速に引き渡すことを取り決めている。他の加盟国で2002年より前に逮捕状が出たケースについては、例外措置として引渡しを拒むことができるが、同規定は2004年1月時点でEUに加盟していた国のみに適用される。
\ところが、クロアチアは加盟の3日前の6月28日、このルールを同国でも適用することを定めた法案を可決した。旧ユーゴスラビア時代の1983年に、クロアチア人の反体制活動家をドイツで暗殺したとして、ドイツが逮捕状を出しているヨシップ・ペルコビッチ容疑者の身柄引き渡しを避けるのが目的とみられている。同容疑者は旧ユーゴ時代の秘密警察UDBAに勤務し、クロアチア独立後に同国諜報部の幹部として活躍して、1991~95年には副国防相を務めた人物だ。
\欧州委のレディング委員(司法担当)は先月末、クロアチアが一方的に改正した犯罪者引渡しのルールはEU法に違反するとして、同国政府に説明を求めたが、期限の今月23日までに回答がなかった。
\欧州委の報道官は27日の記者会見で、同問題は「非常事態だ」として、欧州委が近く対応を協議することを明らかにした。ロイター通信などによると、欧州委は制裁として、EUのクロアチア向け補助金の交付停止や、加盟国が出入国審査を廃止し、旅行者が国境でパスポートを提示することなく域内を移動できるようにする「シェンゲン協定」への参加を認めないといった措置の発動を検討しているもようだ。
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