中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2013/12/4

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

ブルガリア、ベレネ原発計画を再開

この記事の要約

ブルガリア政府がベレネ原子力発電所新設計画を再開する。電力を輸出できる発電能力を長期的に確保する狙い。同時に、コズロドゥイ原発7号機新設計画も推進していく方針だ。オレシャルスキ首相(社会党)が11月30日、記者会見で明ら […]

ブルガリア政府がベレネ原子力発電所新設計画を再開する。電力を輸出できる発電能力を長期的に確保する狙い。同時に、コズロドゥイ原発7号機新設計画も推進していく方針だ。オレシャルスキ首相(社会党)が11月30日、記者会見で明らかにした。

\

コズロドゥイ原発に原子炉を新設する計画はもともと、ベレネ計画を中止する際に、代替案として浮上した。しかし、オレシャルスキ首相はエネルギー政策上、電力輸出能力の確保が決定的な意味を有すると話し、両計画を同時進行させる立場を明確化した。

\

ドナウ川沿いのベレネに原発を新設する計画は1980年代から策定されていたが、体制転換の流れでとん挫した。2005年に選ばれた社会党政権が改めて取り上げ、翌06年にロシアのアトムストロイエクスポルトに建設を発注した。

\

その後、09年に発足したボリソフ中道右派政権は、建設費用が当初予定の2.5倍に膨れ上がったことを理由に、昨年3月、計画を中止。今年1月の国民投票を受けて議会で再検討したが、2月に改めて中止が決定した。

\

エネルギー高騰を引き金に国民の不満が爆発したためにボリソフ内閣が辞職し、前倒しで実施された5月の選挙を受けて、原発推進派の社会党と、トルコ系政党「権利と自由運動」が連立し、中道左派政権を樹立させた。

\

ベレネ原発計画の中止をめぐっては、受注したアトムストロイエクスポルトが決定を不服としてパリの国際調停機関に提訴した。6日には同機関でブルガリア政府が立場を表明する予定となっている。

\

\

■ウエスチングハウス製品に内定

\

\

コズロドゥイ原発の原子炉新設については、東芝の米国子会社であるウエスチングハウスの最新式加圧水型原子炉「AP1000」を採用することが内定した。米国から帰国したストイネフ・エネルギー相がブルガリアのラジオ放送局のインタビューで明らかにした。

\

外部電源喪失時にも一定の時間、自動で炉心冷却が可能という安全性を評価した結果という。原発を操業するブルガリアン・エナジー・ホールディング(BEH)とウエスチングハウスとの交渉が順調に進めば、2016年にも着工できるとみている。

\

コズロドゥイ原発では現在、5号機と6号機の2基が稼働中。総出力2,000メガワットで、ブルガリア電力生産の35%強を担う。しかし、5号機は17年11月、6号機は19年10月に操業期限がせまっている。政府は新原子炉の設置と同時に、両原子炉の運転期間延長も検討している。(東欧経済ニュース3月6日号「ブルガリア議会、ベレネ原発計画中止を承認」、1月30日号「原発新設計画、再審議へ=ブルガリア」、2012年4月25日号「ブルガリアのコズロドゥイ原発、設備近代化に2億5,000万ユーロ」、4月4日号「ブルガリア、ベレネ原発建設計画を中止」を参照)

\