冷戦時代にプラハの一流ホテルの地下に作られた核シェルターが11月28日、博物館として公開された。ホテルがチェコスロバキア軍の歴史を研究する協会と協力して整備した。
\博物館があるのは、国立美術館があることで知られるヴェンツェル広場のヤルタホテル。戦争中の45年に爆弾で壊された建物の跡地に作られた。計画の段階から地下にシェルターを作るとともに、ホテルの宿泊客を盗聴する設備が備えられた。58年の完工以来、89年のビロード革命まで、その存在は極秘だったという。
\核シェルターは、戦時に社会主義諸国の軍総司令部を置く場所として想定されていた。厚さ3メートルのコンクリートの壁に守られ、150~200人が1カ月暮らせるよう、飲料水から診療室まで用意されていた。
\平時には外国人を中心とする宿泊客を盗聴するスパイ施設として利用された。電話はもちろん、靴用ブラシなどに仕掛けられたマイクを通して秘密警察が会話を聞いていた。宿泊客のうち、秘密警察が特にマークする人物は特定の部屋を割り振られ、地下で重点的に盗聴された。「盗聴デスク」には盗聴の優先順位として、ホテルの部屋を色分けした図がはられていた。
\博物館として今回公開されたのは3部屋のみ。家具や内装などはもともとあったものではなく、調査や推測に基づいて当時の様子を再現した。それでも、ガイドの説明を受けながら博物館を見学したホテルの経営陣が「まだ使われているみたいだ」と感想をもらすほど、リアルだという。
\博物館の見学は週2日で、30分のガイド付き。一度に7人しか入れないため、ホテルは電話かメールで予約を入れるよう呼びかけている(URL:www.hoteljalta.com/)
\