ロシア産の天然ガスを黒海経由で欧州に輸送する「サウス・ストリーム」プロジェクトをめぐり、欧州連合(EU)のエッティンガー欧州委員(エネルギー政策担当)がロシアとパイプライン通過予定国との間で結ばれた二国間協定を問題視している。同委員の報道官が5日明らかにしたもので、これらの協定はEU域内エネルギー市場の自由化促進を目的としたEU指令に違反しており、遅くともパイプラインの開通までに協定内容の修正が必要と指摘した。関係各国に対応を求めている。
\サウス・ストリームはロシア南西部から黒海海底を通り、ブルガリア、セルビア、ハンガリー、クロアチア、スロベニアを経由してオーストリアに至るルートと、ブルガリアからギリシャ、アドリア海を経由してイタリアに至る2ルートからなるガスパイプライン。
\エッティンガー欧州委が問題視しているのは、通過各国とロシアの二国間協定の中で、◇ガスパイプラインの運営とガスの供給をいずれもガスプロムが行う◇パイプラインの使用をガスプロムが独占する◇パイプライン使用料をガスプロムが設定する――と取り決められている点。EU指令ではエネルギーの生産部門と供給部門を実質的に分離(アンバンドリング)するほか、エネルギー供給網に競合企業がアクセスすることを認めることが義務づけられているが、協定ではこれらのルールが守られていない。
\同委員は供給網の使用料を他のエネルギー輸送網管理・運営企業や当該国の規制当局との協議なしにガスプロムが単独で決定する取り決めも、EU法に抵触するとしている。
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