ウクライナのポロシェンコ大統領は3月25日、東部ドニエプロペトロフスク州のイゴール・コロモイスキー知事を解任したと発表した。同知事は銀行や石油関連など複数の企業を傘下に持つ新興財閥の1人。東部の親ロシア派勢力との戦闘では政府を資金面で支援してきた。解任の背景には、強い政治力を持つ新興財閥勢力と、その影響力を排除したい政権側との対立がある。
コロモイスキー氏はウクライナ有数の富豪。親ロ派との戦闘では私費を投じて武装集団を組織し、独自に投入してきた。資金源のひとつは同氏が43%出資する国営石油大手のウクルナフタで、これまでは実質的な経営権を握ってきた。だが、ウクライナ議会が先週可決した法改正により影響力を大幅に弱められたため、同氏は私兵を繰り出してウクルナフタ本社を占拠。治安部隊が出動する事態に発展したことから、ポロシェンコ大統領は解任に踏み切った。
大統領は「知事が私兵組織を持つことは看過できない」と発言し、今後は全ての武装組織を政府軍の指揮下に置く考えを示した。しかし、相当数の武装集団を束ねる同氏の動向によっては、ウクライナ情勢が今後さらに不安定化する懸念もある。