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2015/4/29

コーヒーブレイク

免許ツーリズム~チェコ

この記事の要約

免許取り消しは日常生活に大きな支障をきたす。どこかへさっと出かけられなくなるばかりではない。場合によっては職を失うことさえある。しかし、ドイツで免許を取り直すには、合格率63%の試験を受けなければならない。策に窮したドイ […]

免許取り消しは日常生活に大きな支障をきたす。どこかへさっと出かけられなくなるばかりではない。場合によっては職を失うことさえある。しかし、ドイツで免許を取り直すには、合格率63%の試験を受けなければならない。策に窮したドイツ人が考え付いた打開策は「チェコに行く」だった。

欧州連合(EU)では、ある加盟国で取得した免許は他の加盟国でも有効だ。このため、住民登録など一定の条件を満たせば、チェコで取得した免許でドイツを走るのに問題はない。

ただ、ドイツで免許停止・取り消しなどの処分を受けた人が他国で取得した免許は、自動的に有効と認められるわけではない。無効判決が出れば、「無免許運転」の罪で罰金か最長1年の懲役刑となってしまう。

「免許旅行者」をとりまく危険はこれだけではない。最近の裁判で被告となったある若い男性は、仲介業者に2,500ユーロを払い、チェコのアパートで6カ月暮らし、めでたく試験に合格して1年前に帰国した。しかし、いつまでたっても免許が届かない。しびれを切らして無免許運転したため、御用となってしまった。

この男性によると、同じ手口に引っかかった他の「被害者」と集団訴訟を起こしているという。

詐欺にあったかどうかはともかく、いずれにしてもドイツ法を犯したことに変わりはない。この男性ももちろん無免許運転の罰を受けたということだ。