タジキスタン政府が子どもの命名に制限を設けることを狙っている。タジキスタン文化を強調するなかで、外国語起源の名前を排除する内容だ。また、地名や物の名前に由来するものも禁止する方向という。対象は新生児で、現行の名前の改名は求めない。
1994年以来、大統領を務めるエモマリ・ラフモン大統領は、100年以上にわたるロシアおよびソ連の支配を背景とした「脱ロシア」の考えに度々言及し、2007年には自らも姓をスラブ風の「ラフモノフ」から「ラフモン」に改めた。
今回は新たにアラブ語系の名前も「外国」のものとして禁止したいもようだ。ただ、国民にイスラム教徒が多い事情に考慮して「モハメド」、「ハサン」、「フセイン」、「ファティマ」、「ズフラ」などは例外として認めるという。
一方、ログン水力発電所の開発が始まって以来、男の子に「ログンショ」、「シャフログン」など、ここから派生した名前がつけられるようになったが、政府の意向から言えば、これらも禁止されることになる。
しかし、国民は名前の「タジク化」を歓迎していないようだ。2014年1月に検事総長が「青年が名前問題に真剣に取り組んでいない」ことを「愛国心の不足」として批判した後、大学を対象に実施したアンケートによると、タジク風に改名を申請した学生は少数にとどまった。多くはスラブ風の語尾のままとしていた。
また、季節労働者としてロシアへ行く場合、スラブ系の名前のほうが有利という事情もある。今日でもロシアと異なり、ミドルネームのない名前のタジク人は国境審査で入国を拒否されるケースもあるという。