トルコの難民対応は「不十分」、流入抑止の取り組み強化を要請

欧州連合(EU)が難民危機をめぐるトルコ政府の対応に不満を募らせている。EUとトルコは欧州に押し寄せるシリア難民などの流入抑制に向けて連携を拡大することで合意しているが、EU側はトルコ経由で欧州入りする難民や移民が一向に減っていないとしてトルコ政府に取り組みを強化するよう求めている。

国際移住機関(IOM)などによると、2015年に欧州に流入した難民や移民は100万人を超え、その大部分が内戦が続くシリアやイラク、アフガニスタンからトルコ経由でギリシャに入国している。こうした事態を受け、EUとトルコは昨年11月、EUがトルコに対して難民支援のための資金として30億ユーロの援助を行う見返りとして、同国が国境管理の強化などで協力することで合意。先月には停滞していたトルコのEU加盟交渉を再開し、全35の交渉分野のうち、新たに経済通貨政策の分野で協議を開始した。このほかEU側は今秋をめどに、トルコ国民がビザなしでEU諸国に渡航できるようにする方針を打ち出している。

欧州委員会のティマーマンス第1副委員長は7日、今年上半期にEU議長国を務めるオランダで記者会見し、トルコ経由で欧州に流入する難民や移民の数は「依然として高い水準」にあり、「満足できる状態からはほど遠い」と発言。より効果的な協力体制を構築するため、11日にアンカラでトルコ政府と協議を行う方針を明らかにした。

一方、オランダのルッテ首相はEU議長国として難民の流入抑制に最優先で取り組む考えを表明。加盟国が分担して向こう2年間で計16万人の難民を受け入れる計画や、難民申請者の登録手続きなどを集中的に行う難民管理センターの設置などを進める方針を示した。

上部へスクロール