S&P、ポーランドを格下げ

大手格付け会社の米スタンダード&プアーズ(S&P)は15日、ポーランドの格付けを「Aマイナス」から「BBBプラス」に1段階引き下げた。見通しは「弱含み」。市場の予想に反する格下げで、通貨ズロチは対ユーロで一時、過去4年で最安値を記録した。ポーランド政府は経済基盤の堅固さと財政指標の安定を指摘し、S&Pの判断が政治的意図に基づいたものと批判している。

S&Pがポーランドを格下げしたのは今回が初めて。同社は格下げの理由として、昨年10月の選挙で勝利した右派政党「法と正義(PiS)」が、憲法裁判所と公共メディアの人事に関する法律などを通じ、主要機関の独立性と業務遂行能力を弱める政策を進めていることを挙げた。今後、中央銀行の独立性が侵されるような事態になれば、格付けをさらに引き下げると警告している。

財政については、指標改善を見込む以前の予想を取り下げた。年金受給開始年齢の引き下げ、子持ち家庭補助、基本控除額の引き上げといった措置にともなう支出を相殺できるほどの歳入増は見込めず、今年の財政赤字の見通しを国内総生産(GDP)比3.2%へ修正した。

このほかには、特定業界に対する課税などを挙げ、過去におけるマクロ経済政策の進歩を逆戻りさせる懸念に触れた。

一方、フィッチは15日、ポーランドの格付けを「Aマイナス」、見通しを「安定的」で据え置いた。ムーディーズも格付けをフィッチより1段階高い「A2」、見通しを「安定的」で据え置いた。

2007年以来、S&Pはポーランドの格付けを「Aマイナス」で維持してきた。財政赤字の減少と20年にわたるプラス成長の継続を評価し、昨年には見通しを「ポジティブ」に引き上げていた。

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