ロシア、国有3社の民営化案が再浮上

ロシア政府が国有企業の民営化を進めることを検討している。原油安による財政の穴を埋めるためで、シルヤノフ財務相は今月、民営化で今後2年間に1兆ルーブル(125億米ドル)が調達可能との見方を示した。しかし、経済の見通しが悪化していることで、買い手が見つかるかどうかは不透明だ。22日付の英字紙『モスクワタイムズ』が伝えた。

連邦国家資産管理局(ロスイムシュチェストヴォ)は今年、中小企業の民営化で合計330億ルーブル(4億1,000万ドル)を調達する計画だ。しかし、仮に原油価格が30ドル以下で推移したとすると、今年の財政赤字は予算の2割に相当する3兆ルーブル(375億ドル)に膨らむため、赤字の補てんは無理となる。

そこで、石油最大手のロスネフチの株式19.5%、金融最大手のズベルバンク株25%、金融2位VTBの株式10.9%を民営化する案が再浮上している。現行相場で売却に成功すれば、ロスネフチ株で4,750億ルーブル(60億ドル)、ズベルバンク株で4億5,000万ルーブル、VTB株で950億ルーブルが調達できる計算になる。

ただ、経済の先行き不安に加え、これら3社は欧米による対ロ経済制裁の対象ともなっており、買い手が現れるかどうかはわからない。

ロシア政府はこれまでも大型民営化計画を発表してきたが、株価安を理由に延期してきた経緯がある。ただ、今回は経済危機で止むに止まれず実行する可能性もある。(1RUB=1.50JPY)

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