チェコが国名の短縮形として「チェコ」を採用しようとしている。日本語ではすでに短縮形が通称なのでわかりづらいが、焦点は英語表記だ。
チェコの英語名は「Czech Republic」のみ。日本やフランス、ドイツなど、すでに短縮形が市民権を得ている言語もあるが、英語にはない。ザオラレク外相によれば、名前が分かりづらく、「誤表記や混乱が生じている」。例えば、強豪として知られるアイスホッケー・ナショナルチームのユニホームに形容詞である「Czech」が単独でプリントされた(=文法上の誤用)こともある。また、ロシアの「チェチェン共和国」と混同されたり、「Chiken(チキン)Republik」とからかわれたりすることもあったようだ。
そこで候補となっているのが「Czechia(チェキア)」。すでに大統領や主要閣僚が合意し、閣議で承認が得られれば国際連合(UN)に登録手続きをとることになっている。「チェキア」賛成派は、本格的に使えるようになれば、国際スポーツ大会などを通じて広く名前を覚えてもらえるようになり、国の宣伝にもなると考えている。
ただ、「チェキア」はチェコ語でボヘミアを指す「Cechy(チェヒー)」に似ており、同じチェコのモラビア地方やシレジア地方からは異議が出ている。中には「国民投票を」と訴える大臣もおり、まだ最終決着はついていない。
ちなみに、チェコ語では以前から使われている「Cesko(チェスコ)」が正式な短縮名称となる。これは「チェヒ―」と異なり、国全体を表わしており、モラビア人もシレジア人も納得できそうだ。