トルコ中央銀行は5月24日、政策金利の上限に当たる翌日物貸出金利を0.5ポイント引き下げ、9.5%とすることを決定した。利下げは3カ月連続。下げ幅は計1.25ポイントとなった。主要政策金利である7日物レポ金利は7.5%、翌日物借入金利は7.25%で据え置いた。
中銀は4月の利下げの際、「世界的な金融市場の混乱が収まりつつあり、上限(貸出)金利と下限(借入)金利の幅(金利コリドー)にゆとりを持たせる必要性が弱まった」との見方を表明し、金利コリドーを狭めることで金融政策の簡易化を図る方針を示していた。
4月のインフレ率は6.57%となり、ここ3年で最低の水準に下がっているが、中銀インフレ目標(5%)を依然として上回っている。また、通貨リラ安も進んだ。それにもかかわらず、中銀が利下げ判断を下したのはエルドアン大統領による政治的圧力が背景にあるとみられている。
先月就任したチェティンカヤ新総裁はイスラム金融の専門家として初めて総裁に指名された。トルコは世俗主義国家だが、権力強化を続けるエルドアン大統領は政治的イスラムの出身だ。先ごろのダウトオール首相辞任、ユルドゥム運輸相の次期首相への指名なども相まって、「経済政策の政治化」への懸念が強まっている。