シェブロン、カザフで石油増産へ

米石油大手シェブロンは5日、カザフスタンのテンギス油田拡張のため368億ドルを投資する方針を明らかにした。原油価格の低迷を理由に石油各社は大規模開発を躊躇し、投資を抑制してきたが、同社は既存油田の開発を進めることでコストを抑える。今回の拡張で同油田の生産量は日量26万バレル増加する見通し。2022年の生産開始を予定する。

テンギス油田の昨年の生産量は日量約59万5,000バレルで、拡張により44%増加する。同油田の複数の関係筋は英フィナンシャルタイムズに対し、1バレル50ドルの現在の価格水準であれば採算が取れると述べた。世界的な開発プロジェクトの抑制を受けて関連設備やサービス契約の価格が低下していることも追い風になっている。シェブロンのジョンソン副社長は「石油産業関連の資材やサービスが安くなっており良い機会が到来した」と述べた。同プロジェクトは同社の過去10年間の石油・ガス関連事業で最大規模となる。

今回のプロジェクトは既存の設備からの生産量を維持するための「坑口圧力管理プロジェクト」と、ガスを油層に注入することにより生産を増加させる「将来成長プロジェクト」の2つからなる。

シェブロンの投資額は2013年には420億ドルだったが、今年は250億ドルまで縮小した。同社は14年から17年にかけてはオーストラリアにおける液化天然ガス(LNG)基地などの大型プロジェクトにも取り組むが、その後はより小規模で柔軟な投資案件に重点を移していく予定だ。

同油田で採掘を行うテンギスシェブルオイル(TCO)にはシェブロンが50%、エクソンモービルが25%、カザフスタンの国営企業カズムナイガスが20%、残りの5%にロシアのルクオイルが出資している。

上部へスクロール