バルカン諸国の情報技術(IT)系スタートアップ企業などを対象とした投資ファンド、サウス・セントラル・ベンチャーズ(SCV)がセルビアとマケドニアの企業に投資するもようだ。南東欧専門紙『SeeNews』が19日、同ファンドの関係者の話として報じた。対象企業は両国各1社。投資規模など詳細は明らかにしていない。
SCVの資金規模は全体で4,000万ユーロ。各投資対象国への投資規模は特定していないものの、1企業に対する投資額は10万ユーロから300万ユーロ(9万800ドルから2,700万ドル)を上限として運用している。投資後は通常5年間維持し、その後戦略的パートナーや売却先の検討に入る。
最近では、農家の生産性と収益性を高めるための管理ソフトウェアの開発を手掛けるクロアチアの農業技術企業アグリヴィ(Agrivi)に100万ユーロを投資した。またセルビアでは、不動産賃貸時の手順を簡略化する技術の開発に力を入れるセルビアの不動産会社シティ・エキスパートに70万ユーロ、同じく同国のソフトウェア開発企業Drytoolに30万ユーロを投資した。SCVのコブラー氏は、「将来的には他のベンチャーファンドと共同投資することで地域内でのビジネスを拡大していきたい」と話す。同ファンドは現在セルビア、クロアチア及びマケドニアに拠点を持つが、ボスニアヘルツェゴビナ、アルバニア、モンテネグロ及びコソボでの投資機会も探しているという。
ファンド総額4,000万ユーロのうち、3,300万ユーロは欧州復興開発銀行(EBRD)、欧州投資基金(EIF)、ドイツ復興金融公庫(KfW)の出資によるもの。その他に経営陣の他、地方政府や私企業も出資している。