ロシア需要縮小の打開に向けて、独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)が現地生産車をメキシコに輸出する方針だ。独立国家共同体(CIS)以外の外国に出荷されるのはこれが初めて。ロシア政府が今年導入する自動車輸出支援策の適用も視野に入れている。
カルーガ工場の消息筋によると、同工場から中米方面に小型車「ポロ」数百台を出荷する。年内に輸出する合計台数は明らかでないが、例年はおよそ1万台が国外市場向けという。
仕向先としてメキシコが選ばれた理由は明らかではないが、同国で今年、150万台超の乗用車販売が見込まれるなど市場が大きく、「ポロ(現地名:ヴェント)」の人気も高いことが決定につながったとみられる。VWのメキシコ工場ではポロは生産されていない。
カルーガ工場は22万5,000台の年産能力があるが、消息筋によると今年1-5月期の生産台数は4万4,000台にとどまった。新たな販路開拓で余剰能力を活かすことにもなる。
ロシアの自動車市場調査会社オートスタットのウダロフ副社長によると、政府は自動車輸出支援に33億ルーブル強(約5,000万米ドル)を支出する計画で、VWも支援措置の適用を勘定に入れているもようだ。
VWはさらに政府に対し、インドが採用している輸出促進策の導入を求めている。これは、輸出額に応じて税控除が受けられる制度だ。
ロシアの乗用車市場は縮小を続けている。欧州ビジネス協会(AEB)によると今年の販売台数は10.3%減の144万台どまりとなる見込みだ。(1RUB=1.59JPY)