ポーランドが起業支援に力を入れ始めた。経済の革新力(イノベーション)を培うには、スタートアップ企業の存在が不可欠なためだ。具体的には、国営の起業支援ファンド「ポーランド開発基金(PFR)ベンチャーズ」を設置し、起業のハードルとなる資金調達をしやすくする。
PFRベンチャーズは、政府が2月に発表した新25カ年経済政策の実行機関として設立されたポーランド開発基金(PFR)の下に置かれる。9月末までに5種類のクローズエンド型投資基金を開設し、11月以降、支援申請の審査業務を行う。
運用資金として欧州連合(EU)が6億8,000万ユーロを拠出する。支援に当たって民間投資家が同額以上を投資する条件となっているため、運用総額は最大60億ズロチ(約14億ユーロ)に上ると予測されている。
PFRベンチャーズの投資の形としては◇民間のベンチャーキャピタル(VC)ファンドと共同でスタートアップ企業投資◇民間VCファンドに投資――を想定している。
政府は外国企業の参加を歓迎しているものの、支援対象となる外国企業としてはベラルーシ、ウクライナ、ロシア、チェコ、スロバキア、ハンガリーなどを主眼としている。
もう一つの起業家支援プログラム「スケールアップ」はすでにスタートしている。来月15日まで新規事業を育成する「アクセラレーター」を募集中だ。
アクセラレーターはスタートアップ企業20社以上を選び、最大140万ユーロの支援を申請できる。スタートアップ企業1社当たりの助成上限は25万ズロチ(5万7,300ユーロ)。
アクセラレーターの役目は、大手企業やVCファンド、研究機関などと協力し、スタートアップ企業が研究所などの設備を利用したり、専門家の助力を得たりできるようにすることだ。
同プログラムの実施を担当する企業開発庁では、投資せずにスタートアップ企業と提携する場を企業に提供することが目的と説明する。提携が成功したあかつきには、企業がスタートアップ企業に投資したり、新技術を買収したりといった結果につながると期待している。(1PLN=26.71JPY、東欧経済ニュース2016年2月24日号「ポーランド政府、新経済25カ年計画を閣議決定」を参照)