チェコのプルゼニ市が政府に対し、老舗ビール醸造所プルゼニュスキー・プラズドロイを再国有化することを求めている。同醸造所の親会社であるSABミラーがアンハイザー・ブッシュ(AB)インベブとの合併に当たり、欧州資産売却を迫られているためだ。プルゼニ市には醸造所の所有権を主張する団体「ビール醸造市民の会(Pravovarecne mestanstvo)」があり、再国有化によって所有権のありかを明確にしようという狙いがある。
プルゼニュスキー・プラズドロイは1839年にビール醸造権を保有していたプルゼニ市民が共同で設立。世界に知られる「ピルスナービール」を生み出した。第二次世界大戦後に国有化されたが、所有者の子孫は「国有化手続きは完了していなかった」として所有権を主張している。その団体が「ビール醸造市民の会」で、会員はプルゼニ市を含む230人・機関に上る。
欧州委員会は今年5月、ABインベブによるSABミラー買収承認に当たり、SABミラーの欧州資産売却を条件とした。
