チェコ、太陽光発電を再振興

チェコで太陽光発電が復活する兆しを見せている。政府の助成策により大幅に増加してきた同国の太陽光発電は、2013年以降の政府の政策転換により投資が手控えられていた。しかし、バッテリーの性能向上により、家庭やオフィスビルに広く普及した太陽光パネルの効率的な活用が可能となったことや、国営チェコ電力(CEZ)が事業の多様化を目指していることなどを背景に再び脚光を浴びている。

国営『ラジオ・プラハ』によると、今年に入ってからCEZが交わした太陽光発電に関する契約数は既に50に達しており、今年末までにさらに100の契約が成立する見通しだという。CEZで太陽光発電事業を担当するチラニ-氏は、家屋に設置された太陽光パネルによる発電や、企業の自家発電を活用する分散発電の考え方は将来的に重要なテーマになるとの見方を示す。「我が国のエネルギー政策に関しては、全エネルギーの50%までが分散型のエネルギー源由来のものとなるとの議論もある」と同氏は語る。こうした議論の技術的背景には、最近のバッテリー性能の向上で太陽光パネルで発電された電力の長期間の蓄電が可能となったことなどがある。

一方、分散型のエネルギー生産が進むことで同国の送電網や、減少しつつある従来型の発電所から電力を購入する消費者に対する負担が増大する可能性がある。ある推計によれば、これまでにチェコ国内で費やされた補助金の額は数千億コルナに上る。

太陽光発電による電力価格を保証する固定価格買取制度はCEZの大きな負担となってきた。昨年末には同国エネルギー規制局(ERO)が、助成措置が欧州連合(EU)の欧州委員会への通報手続きを経ていないとして買取価格の決定を延期。政府が新たな規制を制定し買取価格が決定されるなど、太陽光助成を巡っては政府対応に混乱も生じている。(1CZK=4.19JPY)

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