同性愛者が初入閣~セルビア

4月の選挙以来、組閣に3カ月以上を要したセルビアのヴチッチ内閣は、政策ではなく人選で大きな注目を集めた。というのも、行政大臣に就任したアナ・ブルナビッチ氏(40)がレズビアンだからだ。

セルビアの人権団体ゲイ・ストレート・アライアンス(GSA)の調べによると、同国では同性愛を「病気」と考える人が70%に上る。性的少数者の差別に反対する「ゲイ・プライド・パレード」は2010年にフーリガンによる攻撃を受けて多くのけが人が出た。以降、5年にわたり「反同性愛者による暴力の恐れ」を理由に当局の許可が下りず、ようやく開催された昨年のパレードは警察による厳重なガードの下で実現した。

このような「お国柄」のため、同性愛者であることを認めている人物が入閣するというのは歴史的な出来事なのだ。ヴチッチ首相は「どんな仕事をしているかが重要」と述べ、ブルナビッチ氏が公に女性と交際していることは問題ではないとの立場を示した。

ブルナビッチ氏は英国の大学を卒業し、長年、米国債開発庁(USAID)の南東欧部門で働いた。大臣就任までは、企業、地方自治体、市民団体が参加し、セルビアの事業・生活環境の改善を目的とする団体NALEDの会長を務めていた。

国際的人脈に通じるブルナビッチ氏の人選が行政改革に本腰を入れるというヴチッチ首相のシグナルなのか、単なる「お飾り」なのかは現時点では不明だ。今後の動向で判断するしかない。

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