ロシア自動車最大手のアフトワズ(AvtoVAZ)が年内に第三者割当増資を実施する方針だ。総額850億ルーブル(2億6,200万ドル)の新株発行計画の第1弾となるもので、筆頭株主の仏ルノーなどから250億ルーブル(3億8,600万米ドル)の追加出資を受け、財務改善を図る。第2段階では債務の株式化(デッド・エクイティ・スワップ:DES)の可能性も検討し、来年1~2月に詳細を決定する。
ルノーは今回の第三者割当増資について、少数株主にも参加を要請するが、実現しなければ単独で新株すべてを引き受ける構えだ。
アフトワズは昨年通期、過去最悪の740億ルーブル(11億ドル)の損失を計上した。2016年上半期も272億ルーブル(4億2,100万ドル)の赤字となり、期末現在の債務総額は970億ルーブル(15億ドル)に膨らんだ。
アフトワズに約25%を出資するロシアン・テクノロジーズ(ロステック)は今年6月、アフトワズへの債権510億ルーブルのうち200億ルーブルを償却処分し、残り310億ルーブルについては新株と交換する方針を明らかにしている。ルノーも同様の措置を実施する方針だが、その規模などについては明らかにしていない。
VTBキャピタルのアナリスト、ベスパロフ氏によると、ロステックが債権を株式化した場合、ルノー・日産連合が現行の出資比率(49.9%)を維持するには600億ルーブル以上を追加投資する必要がある。
アフトワズは来年、ステーションワゴン「ヴェスタ」、次世代「ラーダ4x4」など数多くの新車を市場投入し、巻き返しを図る。市場が落ち着き、業績が改善すると見込んでいる。2018年には黒字転換を目指す。(1RUB=1.59JPY)