バルト諸国、中国との経済関係強化に期待

中国とバルト3国との間で経済関係強化に向けた動きが活発化している。中国は2012年に始まった中東欧諸国と中国とのフォーラムである「16+1」サミットなどの場で、同国の「一帯一路」構想の一環としてバルト3国での輸送インフラの整備などに関心を示してきた。またバルト諸国の側でも最近の経済不況を克服する手段として中国との貿易・投資関係への期待が高まっている。

中国は2013年に「一帯一路」構想を発表し、欧州と中国を結ぶ線上に位置する諸国との経済関係強化に乗り出している。14年には同構想のインフラ投資を推進するため400億ドル規模のシルクロード基金を立ち上げた。また政府系の国家開発銀行が60カ国の900を超えるプロジェクトに投資していくことを計画している。

今年5月にラトビアのリガで開催された「16+1」サミットの運輸大臣会合に出席した中国の交通運輸部の戴東昌副部長は、中国と欧州を結ぶ輸送インフラの強化に言及し運輸関連規制の緩和と港湾施設の拡充を課題として挙げ、特に黒海、アドリア海、バルト海沿岸の港湾施設の受け入れ能力拡大の必要性を訴えた。それに対しラトビア運輸省のマルドゥプ・トランジット政策局長は「北欧とバルト諸国は2,600万人の人口を抱える市場であり、ラトビアに設けた拠点から中国製品が流通するようになれば(ラトビアの)経済に大きく貢献することになるだろう」との期待を示した。

「16+1」に参加するのは中国の他、中東欧の欧州連合(EU)加盟11カ国及びアルバニア、ボスニアヘルツェゴビナ、モンテネグロ、セルビア、マケドニアのバルカン半島の5カ国。最初の首脳会合(サミット)は2012年にワルシャワで開催された。昨年11月に中国の蘇州で開かれた同サミットでは、ロジスティクス担当事務局の設置をラトビアが主導して行うことが決定されている。

ラトビアの現地英字紙『バルティック・コース』は、バルト諸国は経済が停滞している西欧諸国ばかりでなく、資本が豊富でありコストも安く開発途上国としての経験もある中国や、高い品質と信頼性を誇り環境対応の進んだ日本などアジア諸国との経済関係を強化すべきだとの見方を示している。

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