働くお母さんたちは日々、仕事と家事、子育てに追われるハードな毎日を送っているが、社会は必ずしもこれに理解を示していないようだ。国連ヨーロッパ経済委員会(UNECE)人口部の国際比較研究「世代とジェンダーに関する国際共同プロジェクト(GGP)」の一環として実施された調査「親の雇用に対する姿勢(Attitudes towards Parental Employment)」によると、特に東欧で理解が小さい。
この調査は、欧州14カ国および日本、豪州に住む14~45歳で8万人超を対象に行われた。「母親が仕事をもつと、小学校へあがる前の子どもによくない影響を与える」と考える人の比率を算出した。
「影響あり」派が最も多かったのはハンガリーで、その比率は80%に上った。グルジア(72%)、ロシア(64%)、ブルガリア(62%)、ポーランド(57%)、リトアニア(56%)でも過半数を占めている。
ドイツ西部(旧西ドイツ、46%)、豪州(45%)、ルーマニア(45%)、オーストリア(42%)、チェコ(41%)、フランス(41%)は4割を超えた。
一方で、ノルウェー(11%)、エストニア(18%)、ドイツ東部(旧東ドイツ、19%)、日本(24%)、ベルギー(29%)では影響がないと考える人が多かった。
男女の回答を比べると、男性に「影響あり」派が多かった。男女の回答の差が最も大きかったのは、「男女同権の先駆け」として知られるノルウェー。オーストリアと西ドイツも差が大きかった。
一方で、豪州、ブルガリア、グルジアでは男性よりも女性の方が「影響がある」との意見が強かった。
なお、ドイツは冷戦時代に生まれた文化的差異を考慮して、地域別に調査が行われている。旧東ドイツでは女性の社会進出が国策として進められ、「働くお母さん」が当たり前だったのに対し、旧西ドイツでは「子育ては家庭で」という保守的な理念が根強いためだ。