ハンガリー左派系大手紙『ネープサバチャーグ』(Népszabadság)は8日、オンライン版を含む紙面の発行を停止した。発行継続を主張する記者側と停止に乗り出した経営側の対立は解消されていないが、記者側はあらゆる手段を用いて発行を続ける意向を示している。同国で最大の購読者数を持ち、政府に対ししばしば批判的な記事を掲載してきた同紙の活動停止に対し、報道の自由を侵害するものだとの批判が出ている。
同国では同紙の発行停止に対する抗議運動が広がっており、ウェブ紙『online index.hu』によると国会前で8日行われた抗議集会には数千人が参加した。反対派は、発行停止は同紙が現行政権に関し批判的な記事を掲載してきたことに対する政治的な圧力によるものだと主張。一方、最近同紙を買収したオーストリアの出版会社メディアワークスは、同紙が過去数年間にわたり赤字を計上してきたことを挙げ、停止は経済的理由によるものだとしている。
9日に出勤した同紙の記者たちは建物への入館を拒まれた模様だ。アンドラーシュ・ムラーニー編集主幹は同日、メディアワークスと記者活動の継続を求める交渉を開始したことを明らかにした。また同社の新しいオーナーを探しているとも述べた。
国営MTI通信によると、メディアワークスは同紙を売却する可能性を否定していない。