ロシアに住むロシア人と、ドイツで暮らすロシア系住民は必ずしも同じ意見とはいえないようだ。ドイツの『南ドイツ新聞』がフリードリヒ・ナウマン財団とボリス・ネムツォフ財団の調査を比較したところによると、ロシアに住む人は経済成長や安全確保には個人の権利や自由を犠牲にしても仕方がないという傾向が強い。一方、ドイツで暮らす人は、過半数が民主制を支持しているという。
ナウマン財団の調査は、ロシアに住む1,600人を対象にして行われた。73%が月収3万ルーブル(415ユーロ)以下という苦しさからか、計画経済への回帰を望む人が59.6%に、基本食料品の価格は政府が決めるべきと思う人が95.9%に上っている。
最大の政治的課題をたずねると、「景気回復」を挙げる人が71.5%を占めた。近い将来、失業者が増えると予想する人は69%で、職を失う不安が大きい様子がうかがわれる。
ロシア人は法律ではなく、非公式な決まりや取引に則って生きているとみる人は44%、まともな方法では百万長者にはなれないと考える人は70.8%に上った。
テロ頻発で治安の悪化への不安も強まっているようだ。この関連では、国が私的領域に介入していると感じる人は49%だが、保安機関がもっと個人的情報を集めてよいと思う人は3分の2に上った。
テロを防ぐためには国が権利や法律を侵しても仕方がないと思う人は54%に上った。国家の優先課題として、安全と秩序の維持を期待する人は57%弱と過半数に達し、個人の権利や自由を守るほうが大事と思う人(30%)を大幅に上回った。
一方、ネムツォフ財団がドイツで暮らすロシア人(移民・ロシア系ドイツ人)を対象に行った調査では、「ドイツ社会の一員として生活している」と感じる人が80%二上り、民主制に賛成する人は過半数を占める。
ドイツのメディアが主要情報源とした人も過半数に上った。ただ、情報の信憑性では「ロシア・メディアのほうが信頼できる」という人が多い。
難民対策でも強硬な反対派が多く、大多数が難民が来ないように国境を閉鎖すべき、難民が社会に溶け込むことは無理とみている。