スロバキア企業、R&D投資には消極的

スロバキア政府が昨年新たに導入した研究開発(R&D)投資促進措置の利用が低迷している。新たな税額控除措置を利用した企業は50社に過ぎなかった。同国のR&D投資の国内総生産(GDP)に占める割合は他の欧州連合(EU)諸国と比較しても低く、企業の技術競争力の引き上げを図りたい同国政府にとっても民間企業のR&Dへの投資を促進することが重要な課題となっている。

経済協力開発機構(OECD)やEUによると、同国のR&D投資額のGDPに占める割合は低く、2014年の調査ではEU27 カ国中20位と低位に甘んじている。R&D投資の不足が企業の技術競争力の向上を妨げ、国内企業がグローバルなバリューチェーンの下流から上流に移行する際の障害になっていると指摘されている。

また民間企業のR&D投資を促進するために必要な政府の支援が不足している。OECDの2011年の調査によると、政府助成額のGDPに占める割合は同35カ国中31位と低迷している。政府が09年に初めて導入した税額控除措置(19%)も適用を受けられる最低投資額が高かったため利用されず、13年に廃止された。特に中小企業の多くが利用できなかったのは致命的だった。

政府は2015年にR&D投資の税額控除を新たに導入した。しかし利用した企業は50社に過ぎない。この結果について、コンサルティング会社Alma CGのスミフラストヴァ氏はTASR通信に対し、法的な定義が明確でないことが障害となっていると指摘した。また控除対象額となる投資額に占める割合が25%と低いことも問題だという。隣国チェコでは100%を控除対象とすることが可能だ。

スロバキアのR&D投資のGDPに占める割合はEU諸国の中でも低い1.2%に過ぎない。スミフラストヴァ氏は税制措置によるR&Dの支援は将来特に重要になると指摘し、「それにより、今後徐々に削減される競争力強化のためのEU補助金を代替することができる」と述べた。

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