トルコの食料品市場は大きな成長可能性が見込まれており、今後投資が進むと期待されている。食料品の売上増の背景には年率1.4%の勢いで増加し続ける人口がある。またシリアやイラクから新たに流入した難民の数は300万人に上る。生産効率向上のためにデジタル化に乗り出す企業がある他、消費者のエコ意識の高まりに応じて企業も生産方法や製品を変化させるなど、取り組みを始めている。
トルコは3,850万ヘクタールの農地を持ち、2,000万ヘクタールが穀物生産に利用されるなど世界有数の農業国となっている。うち野菜及び果実の生産面積は4百万ヘクタールに及ぶ。農業部門の国内総生産(GDP)に占める割合は7.4%。540万人が農業に従事している。政府が農家に支給する助成金は年間100億リラ(約29億7,800万ユーロ)に上る。
トルコの消費者の間でもエコ意識が高まっている。食料品の需要の変化にも現れており、消費者は健康的な自然食品を好む傾向が出てきている。それに応じて農家も環境に調和した農業や自然食品を志向する傾向が強くなってきた。
このため生産者には最新の技術を利用することが求められるようになっている。その1つがデジタル化で、例えばトマトの缶詰などを製造するTat Gida社は、農家と協力して衛星通信による遠隔操作技術を農場で利用している。局地的な天候や土壌の状態に関する情報が送られる他、農夫がデジタルプラットフォームを介して研修を受けることも可能だ。またトマト生産の自動化に取り組む企業もある。Assan Gida社は西部のススルルクにある工場の自動化のため600万ユーロを投資した。
海外での生産に乗り出す企業もある。Elvan Gida社はアゼルバイジャンとエジプトで菓子類を製造している。同社は間もなくインド工場での生産を開始すると共に、南アフリカへの進出も決定している。
一方、食料品の価格高騰などの懸念もある。トルコ統計局(TUIK)によると、今年上半期の食料品生産額は前年同期比で1.3%増加したが、特に食品とノンアルコール飲料の価格は9.7%と大幅に上昇した。食品価格の高騰が続けば消費に影響する可能性がある。
上半期はロシアの禁輸措置を受け食料品輸出が大幅に減少した。果物及びナッツ類の輸出額は前年同期から約10%減の17億ドルとなった。野菜・果物及びナッツ等調整品の輸出は約17%減少の8億6,300万ドルだった。最近動き始めたロシアとの関係改善が今後も続けば、トルコの食品関連企業がロシア市場に再び進出することができると期待されている。(1TRY=33.87JPY)