タジキスタンでログンダム建設開始

タジキスタン政府は10月29日、巨大ダム事業であるログンダムの建設に着手した。出力3,600メガワットの水力発電能力を整備して電力不足を解消し、余剰電力を輸出する経済政策の一環だ。着工式に出席したラフモン大統領は「今年最大の出来事」とコメントしたうえで、農業用水不足を懸念するウズベキスタンなど「隣国を水不足にするようなことはない」と言明した。

ログンダムはソ連時代の1970年代の構想に基づくもので、1980年代に着工したものの、タジキスタン独立後に資金不足で中止されていた。同国北部から西南部を流れるバフシ川にあり、国内電力需要の大半を供給するヌーレク水力発電所の上流に設置される。完成すれば堤高335メートルと、ヌーレクダムを抜いて世界一となる。イタリアの建設会社サリーニ・イムプレジロが39億米ドルで工事を請け負っている。

バフシ川の水量は夏に多く、冬に少ない。このため、夏にダムに溜めた水を冬に利用する形となる。しかし、バフシ川の下流に位置するウズベキスタンは綿花栽培のため夏の水需要が大きく、9月に死去したカリモフ大統領も、その後継として有力視されるミルジヨエフ大統領代理も建設計画に明確に反対してきた。過去にはウズベキスタンが一次資源に乏しいタジキスタンに対する天然ガス供給を中止した経緯もある。

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