ブルガリア大統領選で親ロ派候補が1位に、13日決選投票へ

ブルガリアで6日行われた大統領選挙は、社会党(BSP)が推薦する親ロ派のルメン・ラデフ候補が最多票を得たが、当選に必要な過半数に届かず、結果は13日の決選投票に持ち込まれた。中道右派の与党・「ブルガリアの欧州における発展のための市民(GERB)」のツェツカ・ツァチェヴァ候補と対決することになる。ボイコ・ボリソフ首相は、ツァチェヴァ候補が落選すれば国民議会を解散し、前倒し選挙を行うと予告しており、親欧のGERB政権も存続が危うくなっている。

中央選管が7日、開票率95.2%の段階で発表した結果によると、ラデフ候補は25.7%を得票した。2位のツァチェヴァ候補は22%だった。3位は「内部マケドニア革命組織・ブルガリア国民運動(WMRO)」とアタカの右翼連合が推すクラジミル・カラクチャノフ候補で15.0%を得た。

ブルガリアの大統領は儀礼的存在だが、法案拒否権など一定の権利を持つ。また、現職のプレヴネリエフ大統領が親欧的立場を明確にし、ロシアのクリミア半島編入を公に批判するなど、外交面の影響力を発揮することも可能だ。

ラデフ候補は空軍司令官を務めた経歴の持ち主。欧州連合(EU)・北大西洋条約機構(NATO)の加盟を続けながらも、歴史が培った対ロシアの関係重視を唱え、EUの対ロ制裁解除を求めていく立場だ。また、欧州への難民急増で国民の不安が拡大したことを受け、難民受け入れにも反対している。右翼連合・カラクチャノフ候補の票は決選投票でラデフ候補に流れる可能性が強く、ボリソフ首相ら与党が他の候補の票をどれだけ集められるかが焦点となる。

与党候補が苦戦している責任は、ボリソフ首相にもあるようだ。汚職対策や公的サービス改革の遅れで国民の支持が低下している中で、候補者選定にあたり、党内の指導的立場を守るため、ヨルダンカ・ファンダコヴァ・ソフィア市長など有力な政治家を立てず、勤勉かつ忠実だがカリスマに欠けるツァチェヴァ国民議会議長を選んだのが裏目に出たとみられている。

ブルガリアは歴史的にロシアとの関係が深い。また、天然ガス依存のほか、ロシア企業が国内総生産に寄与する比率が22%に上るなど、経済的な結びつきも強い。ソフィア民主主義研究センターは、ロシアが経済力を背景としてブルガリアの政治決定過程に強い影響力を持つと指摘している。

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