ロスネフチ、7-9月は大幅減益

ロシア石油最大手の国営ロスネフチが11日発表した2016年7-9月期の最終利益はアナリスト予想を下回る260億ルーブル(4億米ドル)となり、前期比で71%の大幅減益となった。石油輸出税の負担増加が主因だ。一方で年内に予定されるロスネフチの部分民営化では、ロスネフチが自社株買いを実施する公算が高まっている。

売上高は前年同期実績とほぼ同じ1兆2,230億ルーブル(194億ドル)だった。10日の発表によれば、生産量は前年同期比1.3%増の日量415万バレル。10月に買収したバシネフチは日量42万5,000バレルを生産しており、今後はグループの生産量が増加する見通しだ。

石油輸出税は原油相場を基準に算定されるが、7-9月期になってようやく2月の価格上昇が反映されたために納税額が増え、大幅減益につながった。

1-9月期決算は、売上高が前年同期比11.4%減の3兆5,030万ルーブル(530億ドル)、利益が57.3%減の1,290億ルーブル(20億ドル)だった。

営業利益率(EBITDAベース)は前年同期の24.1%から25.4%へ上昇した。純現金収支(フリーキャッシュフロー)は63.4%減の1,890億ルーブル(41億ドル)に落ち込んだ。

9月末の純債務は前期比11.5%増の261億ドルに膨らんだ。10-12月期に償還期限を迎える債務は38億ドル、来年は129億ドルに上る。

なお、ロスネフチが先月3,230億ルーブルで買収したバシネフチは、1-9月期に売上高で6.1%減の4,350億ルーブル(66億ドル)、利益で33.6%減の340億ルーブル(5億1,900万ドル)を計上した。このため、今後のグループ決算に寄与すると見込まれている。

■政府保有株を自ら取得か

ロシア政府は7日の政令で、年末までに政府系持ち株会社ロスネフチガスが管理するロスネフチ株のうち19.5%を売却することを発表した。来月5日までに売却先を決定する。今年度の歳入に組み込むため、手続きを急いでいるもようだ。

決定までの時間が限られていることから、市場関係者はすでに売却先が絞られているとみる。ただ、国内石油2位のルクオイルや、ロスネフチ株20%弱を保有する英BPはすでに買収しない方針を明確にした。以前に売却先候補として言及された中国、インド、カザフスタンなどとも交渉が進展した様子もない。このため、ロスネフチが自社株買いを実施する公算が高まっている。

政令によると取引額は最低7,110億ルーブル(111億ドル)とされている。ロイター通信はロスネフチガスがロスネフチに買収資金を融資する可能性を報じているが、ロシア政府筋は、「ロスネフチがベルフネチョン油田運営会社の株式20%を北京市燃気集団に譲渡する売却利益(11億ドル)でまかなえる」と否定している。(1RUB=1.63JPY)

上部へスクロール