オーストリアやドイツ、スイスなど中東欧に近い欧州地域で、不足するIT人材を中東欧で見つけようとする動きが広がっている。業界の成長に人材の供給が追い付かないためで、求人する企業と求職者がコンタクトを結ぶ場となる専門会議を定期的に催す企業も出てきた。ただ、中東欧地域でも人手不足は深刻で、求人難が容易に解決することはなさそうだ。
オーストリアでは現在、ソフト開発者を募集しても求人枠の4分の1しか埋まらない状況だ。業界関係者の専門会議を運営するウィーアーデベロッパーズでは、理工系(MINT)分野では2020年までに4万人の職が生まれると予測する。これらの学科を専攻する学生も増えているが、それを上回るスピードで労働力が求められているという。
ドイツでは大企業に続いて経済の柱である中堅企業(従業員50~500人)の間でもIT人材を中東欧で探す傾向が広まっている。国外に拠点や取引先がある場合にはそのつてで、なければIT専門家のネットワークを通じて募集するのが一般的だ。
いずれの場合も、人手不足の要因は絶対的人数の不足に並んで、必要知識を備えていない応募者が多いことにある。IT技術は日進月歩で、今の知識の価値が2年後には半減すると言われる。このため、企業側も学ぶ意欲のある応募者を採用し、足りない能力を研修・訓練などを通じて補っていく姿勢が重要だ。
また、女児を含めて幼少時から理工科目への関心を高めるための働きかけも大切だ。この場合、論理的な思考や熟考する力を鍛え、数学的能力を伸ばすことが、具体的な知識・技術の有無を超えた有能な人材育成につながると考えられている。