オランダの信用保険大手アトラディウスは先ごろ、今年の経済見通しと各国の信用リスクに関する報告書を発表し、中東欧諸国では堅調な国内市場を背景にブルガリアの見通しが明るいとする一方、トルコの政治的なリスクを注視する必要性を指摘した。
世界経済については米国で発足したばかりのトランプ政権による財政政策及び貿易政策の先行きが不透明であることから、世界貿易の伸びは控えめなものにとどまるとの見通しだ。輸出に依存する新興国、特に資源輸出国は困難に直面するとし、国内消費などを下支えする若い中産階級を持つ国が注目されるとしている。とりわけ国内需要、人口の伸び、長期投資が順調なブルガリア、インド及びインドネシアに高成長が期待できるとの見方を示した。
ブルガリアの経済成長率の見通しは3%。外国企業にとっては農産物及び食料品が特に有望だとしている。高付加価値製品に対する需要が伸びている他、中小企業が多く市場が分断されていることが背景にある。その他には国内企業が成長し家庭需要が伸びている化学製品を挙げた。一方企業の資金調達機会が限られていることが不安要因だとし、債務の返済期限が15日から45日間に設定されている他、平均して30日ほどの延滞債務が発生していることを問題視している。
トルコについては2017年も外国企業にとり引き続き魅力的な輸出先となるとの見方を示す一方、昨年7月に発生したクーデター以降政治的なリスクが上昇しており、企業資産の没収などのリスクがあり注視が必要だとしている。加えて、トルコ経済は外資への依存度が高いことから、米国新政権の発足で為替リスクが拡大、それとともに政府・企業ともに信用リスクが上昇したとしている。