汚職を監視する国際的な非政府組織(NGO)のトランスペアレンシー・インターナショナル(TI:本部ベルリン)が1月25日公表した2016年版の調査報告書によると、中東欧のEU加盟国の非汚職度はエストニアが前年に続き 1位となった。最低はブルガリアだった。
同調査は世界176カ国を対象に、政治家や公務員による汚職の少なさを示す「腐敗認識指数(CPI)」(0~100ポイント、最高点100)を各種の調査を参考に算出したもので、2016年の同指数の平均は43だった。エストニアの同指数は70で、全体でも昨年から順位を1つ上げて22位だった。上位50以内にはポーランド(29位)、スロベニア(31位)、リトアニア(38位)、ラトビア(44位)、チェコ(47位)が入った。
一方、ブルガリアの指数は41で、EUの中で最下位の75位となり、昨年の69位から大きく順位を下げた。EU加盟候補国のトルコも41の75位で、順位を昨年から9つ下げている。
非加盟国ではロシアがウクライナやカザフスタンと並ぶ29で、131位だった。単独では昨年より順位を4つ下げた。ウクライナでは電子公開システムの施行により、国民が政治家や公務員の資産を閲覧できるようになったため、昨年の27から2ポイント改善した。しかし、ヤヌコヴィッチ前大統領や側近の汚職への裁判は、司法制度の組織的問題のために長引いている。
同調査の上位国では、報道の自由度が高く、国家予算の情報の透明度も高い。また司法が富裕層と貧困層を差別しない。一方東欧では、説明責任の概念が十分に理解されていないため、政治家、検察、政治指導者は司法に追及されないという考えが蔓延している。