ウクライナ、EV普及に向けて始動

ウクライナが電気自動車(EV)の普及に乗り出した。社会基盤省は国民向けの啓蒙活動に本腰を入れて取り組むことを提案しており、大手ディーラーも基本的に賛成の立場だ。ただ、本格的な市場導入にはインフラ整備が不可欠と強調している。

BMWの公式ディーラーであるAWTババリアは昨年末からEVの輸入を開始したが、現時点ではプロモーションの域を超えないという。消費者に製品を紹介するとともに、インフラ整備の必要性を周知するのが主眼だ。

ティモフェイエフ社長は、車体価格と電力料金が下がれば潜在需要はあるとみているが、現状ではEVで利益をあげることはむずかしく、「時間と資金をかけて広告活動を続けていかねばならない」と説く。例えば、EVはガソリン・ディーゼル車に比べてメンテナンス費用が小さいという利点がある一方、高電圧バッテリーを積んでいる関係上、火災時には特別な注意が必要であるという事実を消防隊に周知徹底することが必要だ。

ウクライナ・ルノーのミネンコ社長は、これらの課題について「すでに2015年以来、取り組んできた」とした上で、「販売店・修理業者の関心を高めなければ普及はありえない」と強調する。「現時点ではEV価格が非常に高く、即座に利益にはつながらないが、社会基盤省が提案するように、啓蒙活動を行っていくことは大事」との認識だ。

ウクライナ現代自動車のチェトヴェルーヒン広報部長も社会基盤賞の提案に賛意を示す。その上で、修理工場の新設・設備投資を含む多額のインフラ投資は避けられないとみている。

社会基盤省によると、2016年11月現在のEV登録総数は1,630台だった。前年比成長率は13.2%に上ったが、全体の販売に占める比率はわずか0.7%にとどまる。

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