ハンガリー電子産業、直接投資で成長

ハンガリーの電子産業の成長が続いている。とりわけ2014年以降の成長は著しく、特に電子部品の売上高は15年には前年比13%増、16年1-9月期は前年同期比で35.2%増に達している。電子技術についてもそれぞれ6.3%増と5.9%増で好調だ。外国企業の進出も進んでおり、昨年だけでも米国のナショナル・インスツルメンツ、オーストリアのMelecs EWS、イタリアのDatalogicなどが工場の新設や拡充を図るなど同国電子産業の生産拡大を後押ししている。背景には安い賃金の他、多くの自動車メーカーの進出による自動車産業の集積とそれに伴う電子部品メーカーの進出などがある。

最近発表された大型投資プロジェクトには、韓国の電気・電子大手サムスンによる新工場建設がある。首都ブダペスト北方のギョドに新工場を建設する。同地では2014年までブラウン管を製造していたが、900億フォリント(約2億9,100万ユーロ)を投じてバッテリー工場を新たに建設する計画だ。18年下半期に稼働を開始し600人の体制で自動車用バッテリーを年間5万個生産する。その他サムスン傘下の部品メーカー2社がハンガリー進出を計画している模様だ。

電子機器受託製造サービス(EMS)で我が国最大手のシークスは昨年暮れに、中部のナジケレスで新工場の建設を開始した。投資額は64億フォリント(2,070万ユーロ)で、13億フォリントを政府が助成する。今年9月から従業員300人の体制で自動車、家庭用機器及び産業向け電子部品を生産する予定だ。同社は既に隣国のスロバキアに進出している。

シンガポールのEMS大手フレクストロニクス(Flextronics)は、昨年11月に西部のサールバール工場の拡張工事を完了した。投資額は5億フォリント(160万ユーロ)。拡張により250人を新たに雇用し生産能力を倍増させる予定だ。同社は中国のパソコンメーカー、レノボにサーバーを供給している。

オーストリアのMelecs EWSは昨年、東部のジェールに4億フォリント(130万ユーロ)を投じて工場を1,500平方メートル拡張した。従業員数を370人から520人に増やし乗用車用LED電球を生産する。同社は2010年に同地に進出、当初は家庭用機器に使用する電子部品を生産していたが、2013年からは自動車向けランプ及びタコグラフを製造してきた。

昨年初頭にはイタリアの電子部品及びオートメーション技術のデータロジックが西部のバラトンボグラルで新工場の稼働を開始した。投資額は900万ユーロ。センサー、セキュリティ用ライトカーテン、バーコードリーダーを生産する。それに伴い従業員数を現在の20人から200人まで大幅に増加させた。同社は2003年来、ハンガリーに進出している。

米国の計測・オートメーション技術のナショナル・インスツルメンツは東部のデブレツェンにある工場の生産能力増強を図る。同地にあるグローバルサービスセンター、生産施設、研究開発用情報通信(IT)インフラを拡充する計画で、新たに210人を新たに雇用する予定だ。また同社は昨年300億フォリント(9,700万ユーロ)を同工場に投資し新設備を導入している。

既に同国に進出して10年以上になるドイツの自動車用通信機器メーカー、ヒルシュマン・カー・コミュニケーションは、2006年から07年にかけて自動車用電子機器の生産を開始した。その後も同国での生産を拡大しており、5年前には工場を拡大し物流施設を拡充した他、昨年秋には100万ユーロをかけて新しい生産ラインを完成させた。それに伴い従業員数は600人から670人に拡大している。

自動車部品大手ボッシュは現地に電子部品を製造する子会社エレクトロニカ・ジャルトを持ち、国内9カ所で1万1,000人以上を雇用している。

昨年暮れには日本の自動車部品メーカー、ミツバが北中部のシャルゴータルヤーンにある工場の拡大を開始した。43億フォリント(1,400万ユーロ)をかけて生産能力と倉庫機能を強化する計画で、8億5,000万フォリントは政府が助成する。150人の雇用が生まれる予定。

西部のソンバトヘイにはドイツの電子部品メーカーEpcosが工場を持つ。2008年に日本の同業TDK傘下に入った同社は2014年に105億フォリントをかけてハンガリーでの生産能力を拡充した。また同地には米国の自動車部品メーカー、デルファイが現地子会社ハンガリー・アウトアルカトレス・ジャルトを通して進出している。(1HUF=0.38JPY)

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