チェコ国営CEZが事業再編を計画、原発分離・ブルガリア撤退など

チェコ政府が国営電力会社CEZの原発部門の分離・国有化を検討している。テメリン原子力発電所の原子炉増設計画を自由裁量で進めるのが狙いで、100%を出資する。6日付の現地経済紙ホスポダールスケ・ノヴィニが報じた。

CEZは2009年、テメリン原発で原子炉2基を増設する計画を打ち出し、施工事業者選定の入札を開始した。しかし、2014年2月に発足したソボトカ政権は、原子力発電の電力に固定価格買い取り制度を適用しないことを決定。このためCEZは、同制度に基づく公的支援がなければテメリン原発が採算に合わないと判断し、増設中止に踏み切った経緯がある。

政府は、電力供給に占める原子力エネルギーの割合を長期的には現在の3分の1から半分に引き上げる意向を示している。

■ブルガリア事業売却も検討

CEZはまた、ブルガリア事業の売却を検討していることを先ごろ明らかにした。配電会社CEZ ラズプレデレニエやヴァルナ火力発電所など全ての子会社と施設を売却し、ブルガリアから完全撤退する可能性がある。すでに複数企業と交渉しており、フランス、トルコ、ルーマニアなどの企業が買収に関心を示しているという。

CEZは2004年、ブルガリア西部の地方電力3社を買収し同国に進出した。06年にはヴァルナ火力発電所を買収し、1億ユーロを投じて出力を1,260メガワットに引き上げるなど整備を行った。同国最大の配電会社や水力発電所も傘下に収め、300万超の顧客を擁する国内電力最大手に成長している。

CEZは電力価格引き下げで投資の採算が取れなくなることを懸念しており、事業売却を決めたとみられる。

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