モスクワ郊外のクビンカにある軍事テーマパーク「パトリオット」に、ドイツ国会議事堂の精巧な模型を建て、青少年の軍事訓練所として利用しようという計画が持ち上がっている。セルゲイ・ショイグ国防相が2月24日の祖国防衛の日(祭日)に発表したもので、ドイツ側からは戸惑い・批判の声もあがっている。
国防相は昨夏、青少年民兵組織「ユンアルミヤ」を全国で立ち上げる計画を発表。軍事博物館や戦争記念碑といったところに遠足に行ったり、武器の扱い方を訓練したりしており、欧米ではロシア軍国化への懸念材料の一つだ。
国防相によれば、これら青少年が「建物にどう攻め込むのかを具体的な場で学ぶ」ために国会議事堂のほか、第二次世界大戦の他の激戦地も復元するという。
これに対してドイツから選出されたエルマー・ブロク欧州議会議員(キリスト教民主同盟/CDU)は「赤軍がヒトラーを打ち負かした当時の議事堂を模すのであれば問題ないが、現在の姿であるとすれば、ロシアが今のドイツを仮想敵国とみているという理解が成り立つ」として警鐘を鳴らしている。
そもそも、ドイツ国会議事堂は1933年の放火事件以来、ナチス独裁下では政治的な意味を失っていた。ただ、議事堂に赤旗を掲げるソ連兵士を撮ったエフゲニー・ハルデイの写真がベルリン陥落の象徴としてあまりにも有名になったことなどから、「思い違い」が生じたのでは、と推測されている。