ブルガリア議会選挙、与党勝利も組閣は難航か

ブルガリアで26日に行われた議会選で、親欧州連合(EU)を掲げる中道右派の与党「ブルガリアの欧州における発展のための市民(GERB)」が最多得票を得て勝利した。ただ、過半数議席が確保できなかった上、連立を組んでいた改革派ブロック(RB)が議会入りできず、組閣は困難を伴いそうだ。

中央選管の27日中間発表によると、GERBは2014年の前回選挙並みの32.6%を獲得した。共産党の後身である社会党(BSP)は27.1%と11ポイント以上伸ばした。

このほかに3党が議会入りの条件となる得票率4%をクリアした。

右派「愛国戦線」と極右アタカから成る愛国者統一連合は9.06%、トルコ系住民を代表する「権利と自由のための運動(MRF)」は9%強となり、それぞれ5ポイント以上票を減らした。ポピュリスト政党「ヴォリャ(意思)」は4.15%。トルコ政府に近いとされるトルコ系の新政党「責任・自由及び寛容のための民主主義者(DOST)」は2.95%で議席を獲得できなかった。

経済が停滞する中、今回の選挙では、生活水準の向上を公約した社会党とヴォリャが支持を拡大した。社会党は、EUによる対ロシア制裁の延長反対や、年金・公務員賃金の引き上げ、国内農業・製造業の保護、EU・カナダ包括的経済貿易協定(CETA)の発効阻止、子どものいる世帯への持ち家購入助成――を訴えた。「ブルガリアのトランプ」を自認する実業家、マレシュキ氏が率いるヴォリャは、ガソリン価格の引き下げ、住宅価格を1平方メートル当たり300ユーロに引き下げ、子ども一人当たり年間1,000レフ(約500ユーロ)を給付、といった項目を政策の柱と位置付けている。

一方、国際通貨基金(IMF)はブルガリア経済の問題として、汚職の蔓(まん)延、人材流出、民営化の遅延を挙げている。現在でも賃金上昇が生産性向上のスピードを上回っており、これら2党の公約が実施されれば長期的に同国経済の成長を妨げると懸念されている。

今回の議会選挙は、昨年11月の大統領選挙でGERB候補が敗退したのを受けて、ボリソフ内閣が総辞職したため実施された。(1BGN=61.14JPY)

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