欧州の白物家電各社がポーランドでの生産を拡大する動きを見せている。背景にはドイツを始めとする欧州諸国への輸出拠点としての魅力や、小型家電に対する国内需要の急増などがある。外国メーカーが相次いで工場の新設や拡充を図っている他、国内メーカーも生産増強に向けた大型投資を行っていくことを予定している。
ヨーロッパ家電工業会(CECED)によると、2016年の同国における白物家電販売額は前年比6%増の70億ズロチ(約16億3,500万ユーロ)、販売数量では4%増加した。特に小型家電の伸びは大きく、販売額は前年比14%のプラスだった。国内需要の増加に伴い輸入も急増している。
一方国内生産も順調に伸びている。2016年の生産量は数量ベースで2,240万台となり、2011年に比べ1.5倍に拡大した。国内に26ある工場で生産される白物家電に占める各製品の割合は、洗濯機が30%、調理用レンジが23%、食器洗い機が20%、冷蔵庫が15%、衣類乾燥機が12%となっている。
メーカー各社は需要の伸びに対応して同国での生産を強化している。2015年秋に2億3,500万ユーロの投資計画を発表した米国の家電大手ワールプールはさらに5,800万ユーロを投ずる。中部のウッジと南部のヴロツワフに持つ工場にそれぞれ4,300万ユーロと1,500万ユーロを投資し、同国での生産量を19年から15%拡大する計画だ。ウッジでは衣類乾燥機と冷蔵庫を生産する他、研究開発や生産プロセスの改善などにも資金を投ずる予定だ。
ボッシュ子会社のBSHハウスゲレーテもポーランドでの生産を増強する。今年9月にはヴロツワフに5億ズロチを投じて2つの新工場を開設し、冷蔵庫とオーブンを生産する予定だ。両工場合わせて1,000人の従業員を雇用し、年間約200万台を生産することを目指している。
同社はまた、ウッチ周辺の特別経済地域にある3つの工場でも2017年中に1億ズロチを投じて生産を強化する。同地では洗濯機、自動食器洗い機及び衣類乾燥機を生産しており、17年初めまでに累計で約3,500万台を生産してきた。同社はポーランド全体で4,500人を雇用しているが、12年に比べ60%増となっている。
同国に4つの工場を持つスウェーデンの家電大手エレクトロラックスは、今年2,300万ズロチを投じて南部のシェビエシュにある衣類乾燥機の工場を拡充する予定だ。2016年の同社の白物家電の販売台数は計70万台に上る。
同社は据え付け式の調理器具に事業を集中しようとしている。ポーランドでは販売された製品全体の35%を据え付け式が占めるためだ。
一方国内メーカーも投資を拡大している。Amicaは2017年中に最大1億ズロチをかけて生産能力と製品バリエーションを拡大するための投資を行う方針だ。9月には5,000万ズロチを投じた倉庫が完成する他、3,500万ズロチをかけて中西部ヴロンキの工場にオーブンの生産ラインを新たに追加する。(1PLN=28.03JPY)