トルコ統計局(TUIK)が3日発表した2017年3月のインフレ率は前年同月比で11.3%上昇し、2008年11月以来で最高を記録した。通貨リラ安が続いていることが主因だ。今月16日の国民投票を前に、物価上昇がエルドアン大統領への逆風になる可能性もある。
項目別でみると、「食品・ノンアルコール飲料」が12.5%、「アルコール飲料・たばこ」が21.71%、「運輸・交通」が17.7%と急上昇。「保健」、「その他の製品・サービス」もそれぞれ13.3%、12.5%と2ケタの上昇を示した。日々の出費につながる品目で値上がりが激しく、政府への不満が強まることも考えられる。
インフレ高進の理由は通貨リラ安だ。エルドアン政権の強権化や中央銀行の中立性に対する疑念で投資家の信頼が弱まり、対米ドル相場は過去1年で30%下落した。
インフレ率は2012年が6.2%、13年が7.4%で、14年以降は8%台で推移してきた。しかし、米シティバンクのエコノミスト、イルケル・ドマク氏は、今年は今後も2ケタ台が続く懸念があるとみる。今月と来月は12%を上回る可能性さえあるという。
トルコでは今月16日にエルドアン大統領の権力を大幅に強化する憲法改定について是非を問う国民投票が実施される。世論調査によれば賛成・反対が拮抗しており、インフレ悪化が結果に影響する可能性もある。